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発芽食は理想的な食べ物 ● スプラウトを食卓に 食物の種子は、次の生命を誕生させるエネルギーを秘めています。植物は発芽して新芽になったときに成長力のピークを迎え、発芽時の新芽は、成長した状態(完成野菜)に比べ、はるかに多くのビタミンやミネラルを含んでいます。まさに種子のパワーが踊り出た、最大の栄養宝庫植物です。それを収穫して即食卓に、というすこぶるシンプルで新鮮美味な、機能性を備えた食事が「発芽食」です。 「スプラウト(sprout)」は英語で「芽、新芽」のこと。 植物の新芽の総称で、近年アメリカでは健康志向の人々を中心に食品の新しいトレンドとなり、日本でも注目を浴び始めています。けれどもとくに目新しい新野菜でもなく、日本に昔からあるモヤシも、すっかり定着したカイワレダイコンや豆苗も、最近話題の発芽玄米も、広く考えればスプラウトの一種。
● 新芽・若芽は生きたサプリメント スーパーの店頭で葉の表面に水滴を光らせているホウレンソウは、一見新鮮そのものに見えます。けれども、そのホウレンソウの多くは、土からとられて車に乗せられ、市場でセリにかかり、そしてまた車で運ばれて、やっと店先に並んでいるもので、その間、どのくらい時間を経ているのか定かではありません。野菜は収穫直後からビタミンが減少しはじめます。 レタスは摘み取って30分でビタミンが約25%減少、店頭に並んでいるホウレンソウは一般的に約80%減少しているという研究報告がありますが、これを知るとガッカリしてしまいます。
● 根も葉も茎も備えた「丸ごと野菜」 スプラウトは、土や畑がなくても簡単・手軽に栽培できます。 自分で栽培したスプラウトは、農薬もかけない、添加物も入れない、放射線照射もしない、ましてや遺伝子組み替えもない安全な食品です。またスウラウトは植物の根も葉も茎も、丸ごと全部を備えたホールフード(whole food/自然食品の意味もある)、つまり「丸ごと野菜」です。栄養学の発展は素晴らしく、日々新しく解明されていますが、それでも未知の成分があります。たとえば小麦の場合、全成分の9%はいまだ解明されていない未知の成分。しかしこれらの成分も人間の活動に必要な栄養素であることが期待されています。 これは、サプリメントでは補給できない成分です。 . ● 発芽玄米の胚芽と胚乳 種子が発芽すると、胚芽の部分でまったく新しい細胞がつくられていきます。発芽時の種子は、新たなビタミンや栄養素がつくり出され、発芽に必要な栄養素が最高レベルの整っている状態です。この、最高に濃縮された栄養素を人間が利用しようという発送が「発芽食」なのです。発芽食品の中で研究および開発がいちばん進んでいる発芽玄米を例にとって説明してみましょう。 イネの種はモミ殻に包まれていて、その中には、ヌカ層に包まれた胚芽と胚乳があります。胚芽が子孫を残すエネルギーの元で、胚乳はデンプンという形でエネルギーをたくわえている栄養貯蔵庫です。
● 血液を浄化する「ギャバ」の力 発芽玄米の機能性を、白米や玄米と比較してみましょう。 発芽玄米は白米に比べ、エネルギー、たんぱく質、糖質、ナトリウム以外のすべての栄養成分が増加しています。カロリーや塩分はそのままで、栄養成分が増えているのです。しかも、増えた分は玄米にあって白米にはない胚芽の栄養成分かというと、それだけではありません。たとえばアミノ酸を見ると、ガンマ・アミノ酪酸(略してギャバ)は白米の約10倍、玄米の2倍近くに増加しています。 ギャバは近年注目の栄養成分で、血圧を下げて血糖値を自然に戻し、血液をサラサラにして、脳を含む全身への血流をよくする作用があります。高血圧、脳卒中、糖尿病、痴呆症などの予防効果の可能性が高いと言われています。
● がん予防や痴呆症にも効果が IP6(イノシトールヘキサフォスフェイト、別名フィチン酸)は、最近米国で各種がんの予防・軽減化に卓越した効果があることが判明し、一躍話題になりました。IP6は、イノシトールというビタミンB群の一種と共存させると、相乗効果で素晴らしい効果を発揮することも知られていますが、幸い発芽玄米には両方とも豊富に含まれているので、発芽玄米を主食にすることで、がんの予防・軽減化が期待できます。 玄米中のIP6は、各種ミネラルと結合し、十分な効果が発揮されにくい状態で存在しているのですが、玄米を少し発芽させると、酵素の作用でIP6とミネラルの結合が切れ、本来の機能が発揮されます。同時にミネラルも吸収されやすい状態になります。 高齢化社会でいちばんの社会問題となっている痴呆症は、脳の血管の詰まりから起こる脳血管型痴呆症と、原因がいまだ特定されていないアルツハイマー型痴呆症に大別され、前者はギャバの効能に期待が高まっています。
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